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著者タイトル価格解説
森 風凜名もなき者たちの哀歌200円

長崎原爆・運命の一日。15歳の少年と少女の出会いと別れの物語。  昭和20年8月9日早朝、御厨良平と山野静子は人目を避けて待ち合わせる。戦況悪化の中逢えなくなる代わりに、良平は静子に伊東静雄の詩集「わが人に与ふる哀歌」を渡す。その中の「有明海の思い出」を見せ、嘗て二人で遊んだ干潟の思い出を話し、戦争が終わった後の将来を語り合う。  大村に行くはずの良平は、急に長崎の軍需工場に行くよう指示を受ける。運命の針は十一時二分に向かって刻み出す。良平が工場を出た直後に新型爆弾が炸裂した。  瀕死の重傷を負った良平は救援列車で諫早に帰り着く。一方、静子は救援列車の負傷者の看護に駆け付ける。二人は偶然に遭遇するが、顔を包帯で巻かれた良平を静子は誰だか識別できないまま別れてしまう。  良平は最後の力を振り絞り近くの本明川に向かう。良平は自ら川の流れに身を任せ、「哀歌」で詠われた有明海のシャッパへの化身を夢想しながら、息絶えてゆく。